こんにちは けいすけ@theddf_)です。

今回は映画をご紹介します。

『タイムトラベラー きのうから来た恋人』

でもなんでしょうこの、SFラブストーリー的な題名。

はじめて見たのは相当前で、劇場でではなく、スカパーのようなテレビで何気なくだったとように記憶しています。

でも頭の隅に燃えカスのように残っていて、唐突に思い出し、動画配信サイトで発見し、久しぶりに見たのでした。

最後まで読んでいただいて「見てみたいわあ」と思っていただけた方には、無料で見られる方法もお教えしまっす。

『タイムトラベラー きのうから来た恋人』概要とあらすじ

  • 製作:1999年 アメリカ
  • 監督:ヒュー・ウィルソン
  • 音楽 スティーヴ・ドーフ スティーヴ・ティレル
  • 出演:
    ブレンダン・フレイザー
    アリシア・シルヴァーストーン
    クリストファー・ウォーケン
    シシー・スペイセク

こちらアダム・ウェバー。マッドサイエンティストの父親、ペリー・コモのレコード、50年代ホームコメディの再放送、古き良き家庭の価値観に囲まれて、すくすくと成長した。35年後の今、アダムは目の眩むような現代世界に飛び出す。目的は生活物資と、良家出身のお嬢さん。代わりにアダム青年が出会うのはイブ。人生にも恋にもうんざりした、LAに住む今どきの女の子だった。

タイムトラベラー~きのうから来た恋人~(プレビュー) – YouTube
Warner Bros Japan

『タイムトラベラー きのうから来た恋人』のみどころ

上記のあらすじに書いていないのですが、話は、ただ一機の軍用機墜落の衝撃を、核爆弾投下であると勘違いした、マッドサイエンティストで発明家の父親が、その到来を信じて作っていた地下の核シェルターに逃げ込むところから始まります。35年間避難していれば放射能も消え、地上に戻れるだろうと信じて。

初っ端の核爆弾やら核シェルターやらキューバ危機などの映像に驚かされますが、バックにペリー・コモの「Ac-Cent-Tchu-Ate the Positive」が流れることで、アメリカ人はこの映画が、”積極的に生きれば救いがある”という感じ?箱舟の話かしら?、と思ったんだと勝手に感想。

みどころ①主演ブレンダン・フレイザーがよい

で、まず、そこでの生活方が素敵すぎです。情報も何もかも1962年で止まったまま。主人公アダムが成長で得るモノは両親からのみ。そこが肝で、”親”というものが、どれだけ子の成長に影響させるのかが読み取れるのです。

両親の期待を両手に、アダムは生まれて初めて地上に出ます。空を物珍しさで見上げるところや、自動車に驚いたり、ホテルの部屋の高さ(高度)にびびったり、朝日が昇る景色に感激したりと、まあそれはそうだろうということでコミカルですが、演じるブレンダン・フレイザーの1本ねじがはずれている感じがたまらなく良いんです。

ブレンダン・フレイザーは「ハムナプトラシリーズで知られているらしいですね。僕は見たことありません。ごめんなさい。

みどころ②アダムの育ちの良さが心地いい

さらにシェルター生活をするべく食料等を大量に買い付けることと、健康な女性を”妻”として連れてくるという指令に忠実に遂行するアダム。そこへ、90年代の典型的なアメリカ女イブが登場。ラブロマンスな話の進み方は陳腐ですが、そこかしこに現れるアダムの育ちの良さに、僕はとても心地よさをおぼえてやまないのです。

ファミレスでイブとランチとなった時も、食前に神に祈りを忘れません。

クラブにイブと、彼女のルームメイトのゲイの友達トロイと行った際の、イブを先にエントランスから入れるところとか。

自己紹介時には、相手の名前をまず言って握手するところなどをはじめ、いたるところで、「父親がこういうときには」「母親がこういうときには」教えてくれた、と恥ずかしげもなく言うのです。

My father~~、My mother~~というせりふ回し。「パパが~」「ママが~」から会話が始まった日にゃ、”ファザコン””マザコン”としてみられますが、アダムにとっての両親からの教えは至極普通だし、教えてもらったことが当然であるに違いないわけで、恥ずかしいとかみっともないとかこれっぽっちも思っていないところが素敵なのです。

みどころ③両親の教えをしっかりと引き継ぐ姿勢が美しい

ふたりの付き合いはトンチンカンだらけに映って、まさにラブコメディですが、ポイントはそこではないと思っています。

アダムがいないところでのイブとトロイのせりふがとっても印象的です。

イブはアダムの完璧なテーブルマナーを、一体なんなの?という風に思っています。

そこでトロイが、「アダムが言うには、『いいマナーは相手への敬意の表れ』なんだそうだ。」と答えます。

「あと、アダムは僕たち(イブとトロイ)を紳士淑女だと思っているらしい。」と続けます。

「これもアダムが言うには、『紳士淑女とは、周囲の人が気持ちのいいように気配りする人のこと。ふたりともそうでしょ』だって。」

「そんなこと誰から教わったの」と訊いたら、

「『両親から教わった。』と言うの。僕驚いた。僕なんか親からは何も教わらなかった」

このあと、ちょっとした行き違いからアダムはイブの元を離れまして、過ちに気づいたイブがアダムが滞在していたホテルの一室に戻るシーンがあります。

チェストにきれいに畳まれているアンダーシャツや靴下。バスルームにはチューブ式の歯磨き粉と剃刀、シェービングカップ、ヘアブラシが整然と置かれている。

アダムの母が日頃当たり前にしていた生活のしつけが引き継がれている。美しいです。

『タイムトラベラー きのうから来た恋人』のラストは

さてストーリーは、最後はハッピーエンドとなるわけですが、その詳細は見ていただきたいとして、イブの言葉がとても良いので引用します。

親が子供の面倒をみて、次に子供が親をみる。アダムは、昔からそれが自然の流れだ、と言う。アダムの言うことは間違っているけれど、私は反論せず笑顔を返す。彼の話には夢が詰まっているから。

見終わって、ほっこりした気持ちになりました。やっぱりアメリカ映画って素敵ね、なんてお気楽な感想を持っていましたが、エンドロールで流れた曲の歌詞に、地名がたくさん聞き取れたので調べてみましたら、ちょっとこの映画の印象が変わってしまいました。

エンドロールで使われた「Political science」が意味しているもの

ランディー・ニューマンの「Political science」が最後に使われていました。調べてみたら、この曲いろいろと解釈ができそうです。

Political Scienceポリティカル・サイエンス – The Tune I Love So Well

父親が極度の共産主義嫌いで、ラストでソ連が崩壊したことをアダムから聞くと喜び勇むも懐疑的であるところからすると、この曲では父親自身のこと以上に、アメリカという国のことを揶揄しているように思えてきます。

古き良き生粋のアメリカ人の父親に育てられた主人公は皆に愛されます。つまり”アメリカに従う者は、みんなに愛されて幸せになる”とも読めます。

皮肉にも映画公開後数年であのテロが起きてしまいますね。そしてアメリカはまたその道を歩んでいるように思えて、ちょっと不気味でもあります。




最後までお読みいただき、ありがとうございました。